としおは先生と二人、だれもいない体育館でとび箱の練習を始めた。放課後の体育館はとても広くて静かだ。「はい、そこで思いきりけって」先生の元気な声だけがさびしく響く。としおは半ばあきらめの気持ちで、何度もとび箱に向かった。しかし、何度やっても越えられない。「としお君、このままじゃとべないよ! あなた、とび箱がとべないことで馬鹿にされたことない? あるでしょう?」としおは、こくんとうなずいた。「悔しく…
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