翌日、職場に行っても雪子はダイヤのことばかり考えていた。おかげでミスをした。田所が来ているのに、窓口に立ってしまったのだ。生憎、三島は休みだった。ほかの職員は嵐の草原に放り出されたキリンみたいに、首を竦めている。「いらっしゃいませ。今日はどのようなご用件でしょうか」仕方なく雪子は田所の前に座った。田所は憮然とした顔で「ハチだ」と言った。「ハチですか?」「ああ、ハチの巣が家の軒下にできて困ってる。…
新着記事一覧
-
小説『魂業石』【第4回】内海 七綺
蜂駆除業者を呼べと言っても「お前らがやれ!税金泥棒!」と怒鳴り散らす茹でダコ。ついに肩を突き飛ばされ、がしゃん、と…
-
小説『溶けるひと』【第7回】丸橋 賢
朝食を食べていた夫が突如大声を発した。次の言葉にハッとして、洗っていた皿が割れる音がした。それは引きこもりの息子の未来のようで背筋が凍り付いた。
-
エッセイ『えびちゃんの ちょっと⼼が楽になる 乳がん・胃がん闘病⽇記[注目連載ピックアップ]』【新連載】えびちゃん
うそーー、わたし…乳がん? 美容院で見ていた女性誌に私の症状に当てはまる乳がんの記事が!心配になって病院に行ったところ…
-
小説『ネムとジド』【第7回】喜田 美樹
ジドを飛ばせるためにやとわれた訓練士。なかなか言うことを聞かないジドに腹を立て、気性が激しい猟犬をつれてきて…
-
小説『猫の雨傘と僕のいる場所』【第7回】倉澤 兎
親の勧めでお見合いをして、一週間後に結婚したという両親。突然逝ってしまった父の遺影を前に、母は父との思い出を語ってくれた
-
小説『SHINJUKU DELETE』【第14回】華嶌 華
部署の空気は、ルッキズムに満ちていた。同性からは憧憬の目を向けられ、男性社員からは、はっきり「女の若さ」を求められ…
-
エッセイ『続・人災 子どもは親を選べない ~“毒親”は“家”を滅ぼす~』【第7回】深草 カオル
大学の先生だった父。親戚は皆ある程度レベルの高い大学に行っていたなか一浪して何とか中堅クラスの大学へ入った私
-
小説『スクリーン』【第4回】山田 健太郎
勾留延長の手続きに国選弁護人、まるで社会科見学だ。パトカーの中、不気味なほどに他人事に感じていたが…
-
評論『司馬遼太郎 啐啄の記』【第4回】辻本 康夫
【司馬遼太郎と読書】司馬遼太郎の速読術の源は、対立した教師? 二人の関係を読み解くと見えるきっかけ―
-
実用『マンションの未来は住む人で決まる』【第16回】久保 依子
母の遺体は腐敗し、特殊清掃が必要な状態になっていた。申し訳ないことをしたと思う。でも、こんなマンションは相続したくない。
-
絵本・漫画『漫画 渦巻いて 三河牧野一族の波瀾<古白編>』【第4回】岩瀬 崇典
川の土手でうとうとと寝入ってしまっていたところ「助けてー!」と言う声がして飛び起きると女性と子供が川に流されていて…
-
小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第33回】行久 彬
子供の悲鳴が聞こえるという妙な噂――夏に一人だけ首回りの伸びた長袖のトレーナーか長袖のシャツを着ていて…
-
小説『魂業石』【第3回】内海 七綺
遺骨からダイヤを生成する? 人の体を使ってこんなにも美しい宝石が生み出せるなんて…もっと近くで見たい、触れてみたい。
-
小説『溶けるひと』【第6回】丸橋 賢
崩れ去った幸せに絶望する日々。或る日昼食を運んでいった時だった。「弱ってしまうから、食べてね」それを繰り返すと、息子の腕が振られ......
-
評論『ストップthe熟年離婚[人気連載ピックアップ]』【最終回】清水 一郎
タンパク質を構成しているアミノ酸のひとつアルギニンとともに、勃起機能を改善する効果があるというその栄養素とは?
-
小説『真夜中の精霊たち』【第4回】新見 上
君は恋をしたことがある?――部族一美人の親友の彼女に猛烈に恋をして二人きりになろうと…
-
小説『箱船へいらっしゃい』【第4回】葛西 雄一郎
「この人、本当に死んでいる!」名誉の殉職だ。彼の死体はパイプいすに座った形でロープに縛られ、観衆の見える場所に飾られた。
-
小説『SHINJUKU DELETE』【第13回】華嶌 華
「もうやだ、死にたい、しんどい」なのに子どもを産む? 自分のしんどさを、子を産んで消化する。どこまで行っても自己都合
-
小説『海の梵鐘』【第4回】波方 遥
生活はようやく安定してきたものの、再婚してから生まれた子供に「心臓に雑音がある」と告げられたつね。それ以来…
-
絵本・漫画『アリとかげろう』【第4回】日比 優彦,ポンヌフ 関
【絵本】「どうしたんだい…アリさん。一体何を怒っているんだい?」とショウリョウバッタが戸惑った様子でアリに問いかけたところ…