【前回の記事を読む】初恋の人と40年ぶりに会うことに。待ち合わせ場所で(あの人なら会いたくないな)と思っていると「緑のジャンパーを着ています」と…

再会

自宅に着くと携帯メールに着信があった。彼からのメールだとすぐに分かった。メールアドレスが彼の好きだった曲の題名だからだ。


<件名>相原です

今日はありがとうございました。


<件名>タカナシです

こちらこそありがとうございました。

この37年間、心にあったモヤモヤが消えたような感じがします。

相原さんが昔のままで良かったです。

また、いつかお逢い出来るまでお互いに元気でいましょうね。


    

彼が昔のままで良かったというのは嘘だ。梅田駅前のビルで待ち合わせをしていた時の彼の印象は良くなかった。何か疲れているというか、憤りを感じているという風に見えた。でも、会話をしていると次第に緊張がほぐれたのか優しい眼差しになった。年齢を重ねても「眼」だけは昔のままだと気づいた。今の本当の彼はどれなのだろう。

第一印象は大切だ。食事中に話した内容はよく覚えていないが、元カレが元カノに再会したい、つまり彼が私に逢いたかった理由を聞いたことは覚えている。

「どうしてまた逢おうと思ったのか、次の選択肢から選んでくれる?

【1】お金に困っている金貸して~
【2】Hに困っているやらせて~
【3】ただ、何となく寂しいから~
【4】昔のことが懐かしいから~

私が考えたのはこの4つだけど、どれかしら」