【1】については完全に否定していた。現在の仕事は別の自営をしており、別段生活に困っている様子ではなかったが、それを確かめるすべもなく本当のところはどうなのだか分からない。彼は冗談で理由は【2】だと言った。男性の多くは、女性に対し下心な気持ちを持っている動物だから、まんざら嘘ではないだろう。

実のところ本人もよく分からず逢いたかったという単純な理由でうやむやになってしまった。もし、また彼と逢うことがあるのなら数年後とか共通の友人の葬式くらいだろう。それで良しとしよう、と自分に言い聞かせた。でもせっかくの再会をこのまま終わらせたくない、もう一度やり直したい、という本音を否定することは出来なかった。

彼には家庭がある。このままズルズルいけば不倫街道まっしぐらになるのも分かっている。頭で分かっていても彼から最初のショートメールが来た時から私の中では彼への想いが膨らみ始めていた。いや、でもちょっと冷静にならなくては、彼の再会理由が実のところ分かっていないではないか。ましてや彼がまた誘ってくれるかどうかも分からないのに、私一人で盛り上がってしまっている。

終活

翌日彼からメールが届いた。


<件名>てつやです

お互いもう歳なのだから物忘れがないうちに何度も逢っておきたいな。

時間が合えば気楽にランチや飲み屋で一杯なんて、どうかな。

ことり、覚えている?

私が足の骨折で入院した時、ことりが病院に見舞いに来てくれたこと。

上本町の病院、

あの時も劇的な再会だったけど、今回はこれで終わりにしたくない。

やっぱり二人は何かあるんだなぁと思うんだ。