尋一は、風間村から古府中(こふちゅう)(甲府)まで約七十キロと古府中から川中島まで百五十キロ、計二百二十キロも這いつくばりながら、杏を探したのであった。風間村を衝動的に飛び出してから何日が経っていただろう。この川中島は、長野盆地を流れる千曲川(ちくまがわ)と犀川(さいかわ)が合流する地点にできた三角州である。尋一にこの大きな川を渡る力はもう残されていなかった。この大河を前にして、尋一は前に進む意…
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