第一章 元気になるってどういうこと?
元気ってなに?
私は人間なので、それ以外の生物にも元気というものがあるのか分かりませんが、きっと他の生物にも元気は関係しているはずです。ただしそれは健康面の元気であって精神面の元気は多くないと思います。
なぜかといえば、多くの生物は自分や同じ種(しゅ)の遺伝子を残そうという本能で生きているのが大部分だからです。しかし、人間はそれだけではありません。自分の感情や言葉を持ち、それを書き残して多くの人に伝えたり、未来に残したりします。
他の動物にも感情や鳴き声はありますが、それを記録する生物はいません。また芸術などにおいても、人間ほど多様な生物はいないと思います。他の生物は圧倒的に生殖活動が生命の根本にありますが、人間はそうでない人も現在は多くいます。
その理由は人間社会が豊かになったり、一人ひとりが自分の生きる価値を考えるようになったり、平均寿命が飛躍的に伸びたりと、さまざまな要因が考えられます。この本はそれがメインの話ではないのでここまでにしたいと思いますが、人間は他の動物より明らかに精神面での健康が、活動などの原動力となる動物だと思います。
この章では、人間はどのような生物であるか、そして元気と関係している病気、特に人間特有の精神疾患等について説明していきたいと思います。
精神疾患等については最近多く取り上げられていますが、まだまだ誤解をされている方が多く、また当事者や周りの方も案外気づいていないことが多いので、ここで簡単に説明をしたいと思います。そして「どうしたら元気になれるのか」をもう一度考えてみたいと思います。
そもそも人間はどういう生き物?
最初に人間とはどんな生き物なのかをおさらいしておきたいと思います。人間はヒト科の動物で、サルやゴリラと同じ霊長類(れいちょうるい)に分類されます。そしてこの霊長類はホニュウ類の仲間です。
ホニュウ類の特徴は、身体が体毛で覆(おお)われており、体温調節ができることです。また、子どもを卵ではなく、胎児で生むのが最大の特徴です。それにより、暑さや寒さが厳しい環境でも生きられ、また卵や未成熟な状態で子どもを産まないので、敵に食べられる心配が少なく、過酷な環境でも効率よく子孫を繁栄(はんえい)させていけます。