【前回の記事を読む】閉鎖病棟はマンガにゲームと基本的に自由に過ごせる。本当は快適?ただし隔離室(保護室)は違う。――知られざる精神科病棟のリアル

第二章 人はなぜ、なかなか元気になれないの?

元気と病気の関係 元気になるって結局どういうこと?

愛情と友情との境目(さかいめ)とはなんだろう

では、愛情と似た言葉で友情もありますが、何が違うのでしょうか。簡単にいえば友情は友達に対する好意的な感情です。よく異性での友情は成立するかしないかと議論になったりしますが、私は異性でも友情は成立すると思います。

私には夫がいますが、多くの異性の友人もいます。その友人と一緒に、夫のいない場所で食事もするし、遊びにも行きます。それを許さない男性もいると思いますが、認めてくれている夫には感謝しています。その友人にはもちろん友情を感じていて、自分にとって重要な存在です。

では愛情と友情は何が違い、どこが境目なのでしょうか。私はこの2つには大きな違いがあると思います。その差は情の深さです。

友情はどんなに親友でも愛情に比べれば浅いものだと思います。付き合いをやめようと思えばやめられるし、責任もありません。だからこそ友達の場合は、一歩冷静になって、相談ができるのだと思います。また嫌になったら、比較的簡単に関係をやめることができます。しかし愛情の場合は違います。

愛情を感じる相手には、家族、恋人、ペットなどが挙げられるでしょう。これらの相手はたとえ自分の思い通りにならなくても、なかなか愛情を捨てることはできません。場合によっては、報われなくても愛情を与え続け、時には度を越してしまうことすらあります。経済的なことも、友情とは違い関わってきます。

また、友情はある程度お互いの信頼関係によって成り立ちますが、愛情は必ずしもそうとは限らないと思います。自分は愛情を感じているのに報われないこともあるし、反対のこともあります。これは恋愛関係だけでなく、親子関係にもいえることだと、教員として多くの親子を見てきて思います。