「いえ、大丈夫です」雪子はゆるりと目を細めた。痛いという感覚はよく分からない。子供の時からだ。転んで膝を擦りむこうと包丁で手を切ろうと、なにも感じなかった。無痛症という疾患なのだと、昔ある人に教えられた。「我慢しなくていいのよ」明美が背中をさする。「痛くて死にそうだ」とでも答えたら、明美は満足なのだろうか。「痛いからどうにかしてくれ」と言われたら、どうするつもりなのだろう。大仰に眉を顰める明美は…
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小説『猫の雨傘と僕のいる場所』【第7回】倉澤 兎
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小説『SHINJUKU DELETE』【第14回】華嶌 華
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