【前回の記事を読む】久しぶりに書いた妹の名前。できない気持ちの塊が音や匂いを引き連れて、こちらへ近づいてくるような気配さえした。鉛筆が手を離れ、かたんと音を立てて床に落ちる。ハッと我に返り、目を見開いた。「しまった!」私のメモ帳は、繰り返しの言葉で真っ黒に埋め尽くされている。何かできたんじゃないか。ごめんなさい。何もできなかったじゃないか。ごめんなさい。そんな言葉を延々と書き連ねた。しまいには鉛…
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小説『ツワブキの咲く場所』【第10回】雨宮 福一
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学校でも家でも布団の中でも携帯を片時も離さず「モバゲー」する私。モバゲー内のサークル活動で頻繁にやり取りする男性ができ…
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小説『しまなみ海道に消えたミス』【最終回】風向 良雄
抵抗しても男は容赦しなかった。無理にドアを開けられて、引きずりおろされ…「ほおお…いい女やで」
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第27回】野村 よし
「伯父さんが亡くなった」「お母さんが入院した」…娘から立て続けに入った連絡。
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エッセイ『保健師魂は眠らない[注目連載ピックアップ]』【第8回】真秀場 弥生
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小説『ぼくらの風船』【最終回】美山 よしの
友情と尊敬と、ほんの少しの寂しさ──成長を続ける親友と、変わらない僕の間に広がる心の距離
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小説『波』【最終回】内木 宏延
【ヴァージニア・ウルフ『波』翻訳】一方で彼を敬愛し、もう一方で彼を軽蔑する。彼よりずっと優れている僕…でも嫉妬しているのさ
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小説『悪魔に下す鉄槌』【第3回】南 十士郎
彼女のあの目に見られると、世界の全てが奪われて、僕は彼女の事しか考えられなくなってしまう。僕の目には彼女しか映らない。
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実用『気診で元気! 文庫改訂版』【第3回】小倉 左羅
ちょっと頭が重い、肩が凝る、急に首が回らない、冷えるなど…身体の周囲の"気" に○○が付いた状態のこと
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評論『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン[注目連載ピックアップ]』【第18回】児井 正臣
東京電力へ支払う電気料金は半額以下、更に売電収入が得られるように。住宅地全体で目指すべき、スマートシティとは。
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評論『仮説社会の欧米、枠社会の日本』【第3回】墨崎 正人
通り一遍の番組を飽きもせず見る「日本の文化」――日本人はそこから幸福を感じる一方で、外国人は煩わしく感じている?
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小説『迷いながら揺れ動く女のこころ[人気連載ピックアップ]』【第6回】松村 勝正
「誰、どうして」…壁一つ隔てた夫の部屋から、かすかに女性の声が聞こえた夜。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第9回】雨宮 福一
久しぶりに書いた妹の名前。できない気持ちの塊が音や匂いを引き連れて、こちらへ近づいてくるような気配さえした。
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実用『頭痛治療革命』【第3回】山王 直子、間中 信也
「すぐズル休みする人」の正体――? 抑うつ症状、めまい、睡眠障害、集中力低下…など、頭痛だけではない片頭痛もちの苦しみ
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小説『拝啓、母さん父さん[注目連載ピックアップ]』【第7回】三上 ミカン
「お母さん!」と声を出そうとするものの出てこない。真っ白な顔の長い黒髪の女が私の胸の上に佇んで顔を覗き込んでいた
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エッセイ『だから教師はおもしろい』【第3回】宮﨑 稔
教師の力量が試される学級での集団生活。「本音で考える学級」、「素直と従順は違う」――本当の仲間作りとは何か?
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第26回】野村 よし
妻が先に逝ったら、どう生きれば良い? 生きるのがめんどくさくなるだろう。三回忌を終えたら、あとを追おうかな、なんて…
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エッセイ『保健師魂は眠らない[注目連載ピックアップ]』【第7回】真秀場 弥生
認知症で「壊れゆく母」を父とともに在宅で看取ることを決めた。「私が母の娘であること」すら母の記憶の中から消えてゆく...
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小説『岐路』【第3回】田中 建彦、田中 充恵
「余は朝廷にお味方しようと思う」十八歳の藩主は決然と口にした。それは彦根藩井伊家が徳川家に反旗を翻した瞬間だった