【前回記事を読む】横浜DeNAベイスターズ・東克樹投手のフォームと球質に注目! クロスファイヤーの威力と被打率データから見る投球メカニズム

ピッチャー編

(4)清水  昇投手、山﨑康晃投手……右投手でもクロスファイヤー球質を投げ込む

「インステップ」から内外角へ「クロスファイヤー」球質

清水投手も、「インステップ」して投球しますが、東投手と同様に、清水投手は右ピッチャーですので、左足となりますが、左足を上げて地面に接地する前に、左足を一直線にします。

そのことで、前に行く力をせき止め、肩の開きを防ぎ、せき止めた力を利用して左足を、弧を描いて横方向に移動して接地し、右ピッチャーでありながら「クロスファイヤー」と同質の軌道のボールを右バッターの内角に投じることができると言えます。

そして、左肩を開かずに、左肩を起点に投球できますので、右バッターの外角にも「クロスファイヤー」と同質の幅角度をつけたボールを投げることができます。また清水投手は、「クロスファイヤー」の軌道で強いボールを投げるために、肘を使って軌道出しとボールに力を伝えています。

投球において前に進む力を止めることができず、左肩の開きが早くなると、バッターに球筋を早く察知されるとともに、バッターに食い込むような鋭角な軌道のボールとはなりにくくなります。

左ピッチャーであっても右ピッチャーであっても、「クロスファイヤー」の軌道は、右バッターにとっては、対応が難しいボールとなりますので、ピッチャーにとっては、強力な武器となります。

山﨑投手の「ピッチングフォーム」構築も、清水投手と同様ですが、接地前の左足を一直線にする動作は浅めにして、東投手や宮城投手に近いかたちで、右肘を抜き気味に、腕を巻いて振るようにし、ボールを押し出すようにして投げています。

このことで、ボールの幅の角度付けがしやすくなりますし、バッターが認識するより早い「リリース」をすることができます。

また、しなやかにスピードを上げて腕を振りますので、「亜細亜ボール」と呼ばれるツーシーム系の球種やチェンジアップなど落差の大きい球種とも「フィット」しやすくなります。