【前回記事を読む】東  克樹投手、宮城大弥投手 スターの投球に隠された、「リリース」につながる情報を秘匿し続けるステップの秘訣。

ピッチャー編

(3)東  克樹投手、宮城大弥投手……内外角にクロスファイヤー球質を投げ込む

外角へも「クロスファイヤー」

また右肩を開かずに、右肩を起点に投球することができるので、「クロスファイヤー」の球質が投じられるとしても、内角の「クロスファイヤー」が投じられるのか、外角の「クロスファイヤー」(「クロスファイヤー」ではありませんが便宜的な名称としてご容赦願います)が投じられるのかボールを「リリース」されるまでわからないので、バッターにとってはより脅威となります。

東投手の場合、こういう投げ方ができるよう工夫しています。戸郷投手と同様、投球に際し、腕を走らすような投げ方をしています。

肘を使って投げるというよりは、腕を巻き気味にして、腕をしならせて走らせて投げています。

このように投げることでボールを前に押すことができます。外への「クロスファイヤー」を投げるにあたっては「インステップ」とは逆方向に投げるので、肘を使うと肘を梃子に方向転換することになるので、スムースさを欠くとともに、肘の負担が増大してしまいます。

また、肘を使用するとバッターから見て、変化点が生じますが、それがありませんので、戸郷投手の場合と同様、バッターが認知できるより先にボールを「リリース」できるという利点もあります。

2023年シーズンの東投手の右バッターに対する「ゾーン」別被打率は次のとおりとなります。

(拠出:データで楽しむプロ野球 https://baseballdata.jp/2023/playerP/1700058_course.html)