【前回記事を読む】【読売ジャイアンツ・戸郷翔征選手】リリースのタイミングを操る名投手!その秘密は「スペース」と「肘抜き」に…?

ピッチャー編

(3)東  克樹投手、宮城大弥投手……内外角にクロスファイヤー球質を投げ込む

宮城投手は2019年にオリックスのドラフト1位指名を受け興南高校から入団しました。

入団1年目の2020年シーズンに、早くも1軍で初勝利を挙げると、翌2021年シーズンでは、開幕からローテーション入りを果たし、順調に白星を重ね、オールスターゲームのファン投票で、パ・リーグの先発部門1位に選出されました。

2021年シーズンは13勝4敗・防御率2・51と好成績を残し、リーグ優勝に貢献するとともに日本シリーズにも登板し、新人王に輝きました。2022年シーズンも先発で11勝し、リーグ2連覇に貢献、日本シリーズでも勝利を挙げ、26年ぶりの日本一にも貢献しました。


2023年には、侍ジャパンに選出され、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ出場を果たし、帰国後、調整期間がありながらも、シーズンでは3年連続の2桁勝利となる 10勝を挙げ、防御率も2・27とリーグ3位の好成績を残し、リーグ3連覇に貢献しました。

日本シリーズでは惜しくも阪神タイガースに敗れたものの、「シリーズ」で勝利投手になるなど、圧巻の成績を残し続けています。

優位性をもたらす「インステップ」への入り方

東投手も、右足を上げた後に、右足を地面に接地する前に右足を一直線にします。このことで、前に行く力をせき止め、体の開きを防ぎます。

阪神の岩崎投手の場合は、せき止めた力を利用して、その力を一気に前にはきだして、ステップ幅を稼ぎ、ホームベースまでのリリース距離を短くしていますが、その力を東投手も活用しています。

東投手はその力を横方向へ移動させるようにしています。右足をそのまま真っすぐ踏み出すのではなく、弧を描いて横方向に移動させ、「インステップ※」での投球につなげています。せき止めた力を横に持っていくことで、横への距離も稼ぎ出すことができます。

※ピッチャーが投球時にステップする際、ステップする足が軸足よりも、右ピッチャーであれば三塁側に、左ピッチャーであれば一塁側に寄って、着地するステップ「インステップ」の効用は後ほど説明させていただきますが、右足を一直線にするアクションの効用は、肩を開かずにインステップできる点です。

「インステップ」しようとするとどうしても、ステップに伴う回転で肩が早く開くようになってしまいますが、右足を一直線にすることで肩の開きを防ぐことができます。その分、バッターに対して、「リリース」につながる情報を秘匿し続けることができます。