次に2023年シーズンの山﨑投手の「ゾーン」別被打率となります。
(拠出:データで楽しむプロ野球 https://baseballdata.jp/2023/playerP/1400109_course.html)
「ゾーン」はストライクゾーンに絞って記載しています。
まず対右バッターです。
清水投手同様、アウトコースにボールを集めています。
アウトコースの「トータル」の被打率は・240、インコースの「トータル」の被打率は・200となっています。幅の角度をつけるボールを投げることができる「コース」の被打率は低めにはなっていると考えます。
続いて対左バッターです。
清水投手より、インコースへ投げる割合が大分多くなっています。多くの割合で投げることができるのも、左バッターのインコースへのボールが「クロスファイヤー」の真価を発揮しているからこそと考えられます。
山﨑投手は肘の使用は抑え目にして、腕を巻いて投げますので、バッターからするとボールを「リリース」するタイミングで起こる変化点が見つけにくいことと、腕の振りの速さが相まって、「リリースポイント」の認識が遅れること、更にクロスファイヤー球質の角度付けによって、左バッターにとっては、体に向かってくるボールにも関わらず、低い被打率に抑え込めていると言えます。
ボールの幅の角度付け、ボールの「リリース」情報の認識を遅らせることで、ピッチャーはバッターへの優位性を高めることができます。
バッターにとっては思っているより、ボールがホームベースに近づいていて、「スイング」が間に合わない、また球種の見極めが難しいという状況に陥りますが、この自分が「思っているより」というのが、バッターに「ダメージ」を与えます。
ボールの「リリース」情報の認識を遅らせることは、バッターに時間的な錯覚を与えますが、バッターに空間的な錯覚を与えることができれば、この錯覚もピッチャーにとっては、大きな「アドバンテージ」となります。
そこで次に、高さを活用することで空間的な錯覚を与える「ピッチングフォーム」の構築について説明していきます。