【前回の記事を読む】【絵本】「わたしは愛するひとに出会った。バルーンのようにまるいからだをした、笑顔のすてきな可愛らしいひとだった。」
大きくなってゆくひとと小さくなってゆくひとのおはなし
赤(あか)い帽子(ぼうし)のひとはまるい木(き)の根(ね)もとに座すわっていた。赤(あか)い帽子(ぼうし)のひとはとても小(ちい)さくなっていて、落(お)ちていた一枚(いちまい)の葉(は)っぱがちょうどよい敷(しき)ものになった。赤(あか)い帽子(ぼうし)のひとが手(て)をのすと、木(き)から一本(いっぽん)の小枝(こえだ)が落おちてきた。
赤(あか)い帽子(ぼうし)のひとは小枝(こえだ)を手(て)に取(と)ると「お祝(いわ)いの曲(きょく)を吹(ふ)いてあげる」と言(い)った。そして小枝(こえだ)を横笛(よこぶえ)にして、静(しず)かに吹(ふ)きはじめた。それは今(いま)まできいたことのないとても不思議(ふしぎ)な曲(きょく)だった。
その曲(きょく)にあわせて木(き)の枝(えだ)がさわさわとゆれ動(うご)き、小(ちい)さな葉(は)っぱがわたしたちに降(ふ)りかかった。
