【前回の記事を読む】出入り口は、なにもないその場所へのひらかれた通り道だった。そして、いつでもわたしはそれを見つけることができた。

大きくなってゆくひとと小さくなってゆくひとのおはなし

赤(あか)い帽子(ぼうし)のひとは、まいねん、まいねん、

少(すこ)しずつ小(ちい)さくなっていった。

そして、どこからか迷(まよ)いこんできた恋(こいびと)人たちの

ないしょ話(ばなし)に耳(みみ)をかたむけて、

ちょっとだけ、ゆかいないたずらをしたりした。

それでも、だれも赤(あか)い帽子(ぼうし)のひとに腹(はら)を立(た)てなかった。

不思議(ふしぎ)なことに、ほかのひとには

そのひとたちのすがたは見(み)えないらしい。