青(あお)い帽子(ぼうし)のひとはまるい木(き)に手(て)をのばした。

青(あお)い帽子(ぼうし)のひとはとても大(おお)きくなっていて、

その木(き)よりもずっとずっと背(せ)が高(たか)かった。

青(あお)い帽子(ぼうし)のひとが手(て)をのばすと、なにもなかった木(き)の枝(えだ)につぎつぎと実(み)がなった。

青(あお)い帽子(ぼうし)のひとはその実(み)をもいで、

「結婚(けっこん)のお祝(いわ)いだよ」と言(い)った。

青(あお)い帽子(ぼうし)のひとが差(さ)し出(だ)した大(おお)きな実(み)は、

手(て)をのばすとちょうどよい大(おお)きさになって、

わたしたちの手(て)のなかにすっぽりとおさまった。

それはハートのような、おしりのような

ぷるんとまるいかたちをしていて、

とても不思議(ふしぎ)な味(あじ)がした。

 

 

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