【前回の記事を読む】見慣れない車と義兄に「どうしたの?」と苦笑いした息子。「パパ死んだ」と告げると「嘘でしょ?」…帰りの車内では太ももを拳で殴り続け…
第1章 ボタンのありか
4 ヒーロー
通夜本番では、私も、お焼香の列の方々にきちんと一人一人ご挨拶ができた。パパが横で「ママちゃん頑張れ!」と言っていたから。その声がなければ、私は立ってはいられなかった。
その夜は、子供たち、姪っ子とその旦那、甥っ子、みんなが葬儀場に泊まってくれた。
私はパパから離れず、みんなが棺桶の横に作ってくれた、パイプ椅子を並べた簡易ベッドに横になった。
そのそばで、子供たちとみんなが深夜まで会話型心理ゲームなどをしてくれた。にぎやかに。パパは暗いのと静かなのが嫌いだから。BGMは人気海賊冒険アニメの歌。
パパが大好きなアニメだ。そういえば、さっき、昔いたスタッフが「そのアニメの結末を知らないで逝っちゃいましたね」と悲しそうに言っていた。本当に。
井上先輩からも電話が来た。
「どうしているのかな?と思って」。
きっと同じように先輩も苦しんでくれていた。誰よりもパパをかわいがっていたから。
翌日の告別式、パパは、娘が結婚式でパパに歌うはずだった歌に見送られ出棺した。
ファンキーモンキーベイビーズの『ヒーロー』。
次は、私の挨拶だ。あとひと踏ん張り。