第1章 ボタンのありか

1 夢?

「パパ何食べたい?」

昨日までと同じLINEを今朝も送った。パパ(愛する旦那)は一週間前から微熱と倦怠感で寝込んでいる。とはいえ、調子のあまり悪くない時もあるようで、昨夜は人けもなくなった時間に近所を散歩した。

娘の部屋の電気がつけっぱなしだとLINEも来た。自分でコロナだと確信し、部屋から出ず、私たちとは絶対に接触しないようにしていたから、LINEなのである。

返事もないので、久しぶりにゆっくり眠れたのかな?と思い、そっとしておくことにした。

2021年4月29日、祝日である。

息子は英語の試験(夏から留学で渡米のための)に出かけ、娘は2階の自分の部屋で何かしている。

昼時になったので、もう一度LINEした。

「……」

?

 “もー、返事くらいしてよ、死んでても知らんよ!”

数日間の心配とイライラもあり、段々胸騒ぎがしてきた。

そのあと数回LINEをしたが返事はない……。

??

とりあえずドア越しに聞いてみよう。昼も過ぎたし、そろそろ起こしてもいい時間だ!

コンコン! 応答なし。

ドンドン! 返事なし、ゴンゴン! なし。

「ドアを開けるよー!」と声をかけ、中を覗く。

リクライニング式のベッドはほぼ90度かと思うくらいに立てられていた。

“こんなにこのベッド上がるんだー、初めて見るなぁ”

“あれ? いない”

私は寝室のななめ前にある玄関を確認した。昨夜散歩の時に履いたであろう靴がそのままある。となると、家にいるはず。

“あれ? どこ?”

もう一度振り返って部屋の中を見回す。