【前回の記事を読む】糖質を摂取すると健康になれない——特に肥満体型や糖尿病患者は、癌になり易く、10万人に1人の割合で……

序章 糖質制限の全貌(糖質過剰病)

日本の糖質ゼロ・糖質制限の歴史

日本での「糖質制限」は約20年前の江部康二先生(1974年京都大卒)の著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!・糖質制限食のすすめ』(東洋経済新報社2005年)から始まります。

江部先生の兄、江部洋一郎先生が大学の同級生、釜池豊秋先生(1972年京都大卒)から『糖尿病、肥満患者に糖質を制限すると非常に良くなる』(1999年)という話を聞かれて京都高尾病院で実践し始めました。

それを江部康二先生が2002年自分の患者で試したところ非常に良くなり、症例を重ねられ本を出版されました。その後2007年に、釜池豊秋先生が『医者に頼らない!糖尿病の新常識「糖質ゼロの食事術」』(実業之日本社)を出版されました。

私は、2007年から2008年にかけて糖質制限における二大双璧である両先生と交流を持ち、学会やテレビ出演を通して糖質制限を広めてきました。糖質ゼロ・糖質制限の世界では、釜池先生はコペルニクス、江部先生はガリレオ・ガリレイと呼ばれています。

そして2010年私の著書『100歳を超えて人生を走れる身体づくり』(情報メディカルサービス)で釜池、江部両先生の「糖質ゼロ、糖質制限」を紹介し、「糖質は外から摂取するのではなく、体内(肝臓)で合成する『糖新生』が基本である」、という革命的理論『釜池式エネルギー代謝・食事理論』を紹介しました。これは、それまで言われていた理論ではなく、「革命的理論」です。

なお、私が2006年から行っている1日2食・糖質33%というのは、数年後に日本抗加齢医学会の重鎮テリー・グロスマン氏が提唱している糖質の値に近似しています。

またここで重要なことは、肥満や糖尿病は病気の中で最も重要かつ患者が多いことと、全ての疾患の中心にあることです。例えば関節リウマチ(日本全国で100万人の患者がいます。約100人に1人です)の治療で最も重要かつ鍵となる薬はリウマトレックスですが、これをアンカードラッグ(鍵となる薬)と呼びます。アンカーとは「カギとなる」あるいは「要」という意味です。

例えば、北海道の天塩川が下流で表面が凍るのは、上流の川の表面は暖かいので川底が凍って氷ができます。これをアンカーアイス(鍵となる氷)と呼びます。そして、これが集まって、ところてん氷となり、下流に流れ着き下流の川の表面全体が凍ります。

肥満や糖尿病も血管の動脈硬化を増悪させますので、全身の60兆個の細胞が機能不全をきたし(血管の内皮細胞を障害)、あらゆる疾患の原因となります。

すなわちアンカーデイジーズ(鍵となる病気)と言えます(図3)。全身の血管内皮細胞の表面積はテニスコート27面分、長さは地球2周半10万kmになります。