真琴は連絡先のメモを渡して、一礼して劉さんのそばを離れた。あずみも一礼だけして、真琴についていった。

「はぁ~。緊張したぁ~」

中庭から離れて劉さんが見えなくなると、真琴は大きな声を上げた。

「え? 緊張していたの?」

「そりゃ、そうよ。だって、劉さんとあんなに長く会話をしたことなんて、はじめてだもの!」

「ええ!? そうだったの?」

真琴の様子から、すでに二人は知り合いだとあずみは思っていた。

「これまで話をしたこと、あったんじゃない?」

「うん、でも挨拶くらいかなぁ。劉さん、自分から話すタイプじゃないし……。一度席が隣になって、少し、しゃべったくらい」

そうだったのだ。あずみだって挨拶程度で似たようなものだ。

「劉さんね……」

真琴の声が少し低くなる。

「この前、お父さんが亡くなったんだって……」

「え? そうなの?」

「うん。それで、ちょうどわたしのパパの話にもなって……お父さんが亡くなって大変だったかって聞かれた」

「そうなんだ」

真琴の父親も数か月前に亡くなっている。

「劉さんのお父さんは最近亡くなったのに、反対にわたしのほうが心配されちゃった」

真琴は照れくさそうに言う。

「優しいね、劉さん」

「うん……」

真琴はうなずいた。

「でも、わたしはもう大丈夫だから」

真琴は力強く言った。

「うん。そうだね」

真琴を見て、あずみも、その言葉に強がっている様子はないと思った。

「でも、よかったじゃない? 劉さんが味方になってくれたら、本格水餃子も実現するよ」

「そうよぅ。心強い助っ人を二人も得たので、あとは部長と副部長を説得するだけ!」

「え? それ、まだなの?」

「うん。そうだけど」

あずみはそっちが先でしょと言いたいところをぐっとこらえた。

「外側から固めておいたら、獲物は逃げないものよ」

あずみはなるほど、と思う。

 

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