【前回の記事を読む】「止める間もなかった」…預けていた5歳の長男がテーブルに足をかけた瞬間、鋼鉄製の台座が倒れ、後頭部を直撃し……
第一章 生命力を支える家族
生きる力
事件勃発
私は彼が足をテーブルにかける瞬間を目にして駆け寄ったが間に合わなかった。
息を切らして彼を追いかけ、追いついたスタッフは青ざめてブルブル手が震えていた。声も出なかった。
私は震えているスタッフに、「どうして部屋から出したの!!」と怒鳴ったが、返事など聞いていられなかった。
すぐに彼を抱き起こし、頭の後ろを見た。散髪を嫌がるので彼の髪の毛はぼさぼさに伸びていた。
伸びた髪の毛の間から盆の窪が三センチほど切れているのが見え、血が出ていた。血はそれほど多くなく、傷口の周りの髪の毛を濡らす程度だった。
私はすぐにタクシーを呼ぶ手配をした。夜も遅かったが、私は救急車ではなく、宿泊所に一番近い外科病院に電話をかけた(合宿の時は緊急事態に備えて近隣の医療機関は把握している)。
宿直の当番医が対応してくれることになった。