一方、「未病」とは、中国伝統医学に由来する考え方で、「病気ではないが、健康でもない状態」を意味します。現代の日本でも、生活習慣病の予備軍やストレスによる体調不良など、未病にあたる人が増えており、これは病気への入り口と考えられています。そのため、早めに気づき、生活習慣の改善などに取り組むことで健康を維持できるとされています。

こうした未病の考え方は、フレイルとも重なります。フレイルの特徴は、体の衰えだけでなく、心の健康や人とのつながりといった社会的な面も含まれることです。したがって、フレイルを防ぐためには、食事や運動などの日常生活の工夫に加え、住環境や社会との関わり方までを見据えた支援が必要になるのです。

これらと比較したとき、フレイルは老化と未病のちょうど中間に位置するといえるでしょう。老化が不可避な変化であり、未病が病気の予兆であるのに対し、フレイルは「生活の質を脅かすが、適切な介入により回復可能な可逆的状態」として、より実践的な介入の対象になります。

たとえば、「最近よくつまずくようになった」「物忘れが増えた」「外に出るのが億劫になった」といった兆候は、老化の一部でもありますが、同時にフレイルのサインとしても重要です。これらを単なる老化として見過ごすか、未病として捉えるか、フレイルとして早期に介入するかによって、将来の健康状態には大きな差が生まれます。

フレイルで特徴的なのは、身体的側面だけでなく、心理的・社会的側面をも含む点です。これは未病の概念とも重なり、フレイル対策には個人の生活環境や社会との関係性まで含めた支援の視点が求められます。

したがって、フレイルは老化や未病の“橋渡し”となる概念であり、高齢社会における健康維持のための「気づきの鍵」ともいえるでしょう。本章では、その位置づけと意義について、さらに深く考察していきます。

 

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