2-5 物流専門人材を採用しない日本企業
ほとんどの日本企業は、大学で物流を専攻したといった「物流専門人材」を新卒採用していない。これは、物流を専門的職能と見なして人材を処遇している諸外国と大きく異なる日本企業の特徴である。
採用時に物流の専門性を重視しないという事実は、日本企業における物流軽視の表れであるとも言えるし、また、社内に物流専門人材がいないことが、日本企業で物流軽視の思想が生まれる原因だと言えるかもしれない。本項では、この問題を深掘りしておきたい。
メンバーシップ型雇用と専門性の軽視
最初に押さえておきたいのが、メンバーシップ型雇用との関連である。物流に限らず、新卒採用における専門性軽視という問題を語る上では、メンバーシップ型雇用の問題を避けて通ることはできない。
周知のとおり、日本企業の多く(特に大企業)は、メンバーシップ型の雇用を基本としている。すなわち、新卒社員は「会社のメンバー」として一括採用したうえで、本人の希望や適性を踏まえ、営業系・総務系などの分野別にキャリアを歩ませるということになる。
なお、メンバーシップ制と終身雇用制はイコールではないが、現実的にはその多くは終身雇用制を前提としている。そのため、将来的に無くなるかもしれないような、ニッチな専門的職務に社員を紐づけることはしない。
言い換えれば、ゼネラリストとして育成することが基本となる。
また、メンバーシップ型では、採用時点で担当させる職務内容が確定していない以上、コミュニケーション能力や営業適性のような、汎用性の高い能力を重視することにならざるを得ない。
注1: ITmedia MONOist記事「物流崩壊から2年、ユニクロが全自動倉庫に取り組む理由(前編)」
2018年10月10日 https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1810/10/news063.html
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