19.父母の恩は山よりも高く海よりも深し

両親から受けた恩は何よりも大きいということ。2017年7月

母が天寿を全うして旅立った。85年に満たない人生だった。5年前に脳梗塞を発症し、入退院をくり返した後、介護老人保健施設に入り、そこで最期を迎えた。

父が世を去って20年近く、一家の主として、長男の嫁として、務めを果たした。地域活動も熱心にやっていた。女学校時代からの同級生や趣味のサークルの友人などたくさんの方々との交流も楽しんでいた。

「もうそろそろこちらにおいで」と父が呼んだのでしょう――喪主の弟は通夜の挨拶でそう言っていた。

私たち3人を心身ともに丈夫に生み育ててくれた。人としての道をきちんと教えてくれた。当然のように大学まで行かせてくれた。好きなことをさせてくれた。両親の愛なくしては今の私はない。

父の時もそうだったが、通夜や葬儀で、故人への思いやエピソードを語ってくださる方の言葉から、両親がたくさんの人に慕われていたことにあらためて気づいた。

真面目に正直に生き、人に尽くすことを喜びとしていた。そんな姿を見せてくれた両親。

病になって気弱になった母を見舞う私たちに「あんたたちがいてくれてよかった」「3人おってよかった」とたびたび私たちへの感謝を口にしていた。「私たちをそういうふうに育ててくれたのは、お母さんよ」励まそうと、母を持ち上げることを言い続けたが、それはお世辞ではなく本当の思いだった。

父母の恩は山よりも高く海よりも深し。

この両親に育ててもらったことを有り難いと思う。

父母の名に恥じないような生き方をしよう。

 

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