厚労省が、死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルに「『異状死』ガイドライン等参考」の文字を記載したことや、国立病院等宛てに出された「リスクマネージメントマニュアル作成指針」が全医療機関宛てに出された通知と誤解されたことにより、医師法第21条に基づく警察届出が急増した(図1‒1)。

写真を拡大 図1‒1 医療事故関係届出等件数と送致数の推移(警察庁による)

この広範囲に過ぎる定義が萎縮医療の原因となり、リスク医療を回避する動きとなった。医師のリスク医療からの立ち去りにより、「医療崩壊」が起こったのである。この医師法第21条の解釈の誤解が契機となり、医療事故調査制度創設の動きとなった。この医療事故調査制度創設の経緯の中で、医師法第21条の解釈も確定したのである。

 

👉『改訂版 未来の医師を救う 医療事故調査制度とは何か』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】その夜、彼女の中に入ったあとに僕は名前を呼んだ。小さな声で「嬉しい」と少し涙ぐんでいるようにも見えた...

【注目記事】右足を切断するしか、命をつなぐ方法はない。「代われるものなら母さんの足をあげたい」息子は、右足の切断を自ら決意した。