朝起きたら三十センチほどの雪が積もっていたことは一度あったが、地下水を汲み上げて流す融雪装置のおかげで、東京育ちの私でさえも何の支障もなく過ごすことができた。
それはセンサーで降雪を感知すると、自動的に水が出て路面の雪を溶かすというもので、注意して見ると、幹線道路から住宅地に至る各所に敷設(ふせつ)されていた。
昭和、平成と、これまでに数度の豪雪を経験してきた、この地方には欠かせない大変に優れたインフラ設備のようだった。
私が購入したのは、昭和の終わり頃に建ったという中古住宅。すぐそばを一級河川が二本流れ、この家はそのうちの一本の土手の下に建っていた。
空き家になって二年ほど経っているということであったが、築年数の割には内外とも、ほとんど汚れや破損箇所がなく、住んでみて十分に満足のいく物件であった。これを見つけることができたのは、自治体の相談窓口が親身に対応してくれたおかげだった。
担当された女性は、私が物件購入の検討段階に入ると、家の外観や内部の隅々までの画像のみならず、周辺地域の様子までわかるように、何度も私に丁寧なメールを送ってくれた。彼女のその熱意は、より一層、私の決断を強く後押しするものとなった。
また、北陸新幹線のおかげで、現地の内見や不動産業者との契約も、日帰りを繰り返すことで不自由なくこなすことができた。