【前回記事を読む】「今すぐ〇にたい」という相談への対処法:「練炭はどこで購入したんですか」「前から準備していたんですか」…気負う必要なし
事例と解決篇
第2章 うちでは対応できない?
【事例3】
事例3のまとめ
[結果]
・対応者に、他に相談の予定が入っていなかったため、すぐに対応できた。
・相談者から「保健所の方と話ができて良かった」と感謝の言葉をいただいた。
・相談者が「今すぐ死ぬ」という状況ではなくなった。
[ポイント]
・専門機関がすぐに対応できるとは限らない。
・相談してくれたということは、聴いてほしいという前提がある。
この事例では、現在の状況を客観的に振り返ることで落ち着きを取り戻した。それは、相手の言葉を会話に利用したにすぎず、専門家でなくてもできること。
・他機関を紹介する場合は、話して少し落ち着いたところ(コラム②参照)
コラム②
「話して少し落ち着いたところ」とは
事例3の[ポイント]の中で、「話して少し落ち着いたところ」と書きましたが、そうは言われてもどのタイミングがそうなのか、と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
「死ぬ」と言いながらも電話をかけてくれているので、「話したい」「聴いてほしい」という気持ちがあるはずです。そのため、例えば「いつからそんな辛(つら)い状況になっているのですか」など、相談者が事情を振り返るきっかけづくりを試みます。
先のクレーム対応の章でも触れましたが、もっと詳しく教えてほしいというスタンスで聴いていけると、相手がそれについて客観的に振り返ることがあります。
そうなると、今すぐ死ぬということにとらわれている状態から距離をとることにつながり、「いつ、何があったか、どう感じていたか」など、今死ぬことにとらわれている話から過去の話にシフトできる可能性があります。その客観的に振り返ることができたタイミングが「話して少し落ち着いたところ」になります。