【事例4】
相談内容:「精神的不調で専門家への相談を促されたが、行く気力がない」という相談。
相談者:30代男性
対応者:著者
対応場面:対面での相談対応
※著者は、この時精神保健や自殺対策に携わる保健所の部署に在籍
30代男性は、職場でストレスチェックを受け、高ストレスと判定された。産業医に相談するか、精神科や心療内科を受診するか、といった選択肢が示され、対処法について書かれたリーフレットを渡された。しかし、それに目を通す気力はなく、精神的不調で病院を頼った経験もなかった。次の一歩を踏み出せずにいたが、病院よりはハードルが低いと思い、保健所に相談した。
事例4の問題点の分析 AだからBをすればいい?
・隙間の支援
「精神的不調だから、病院に行けばいい」と示されたのであれば、保健所に来た段階で「うちの客ではない」と認識し、すぐに受診を促す対応もあるかもしれません。
「AだからBをすればいい」という助言による支援だけで、行動に移すことができる人もいます。しかし、頭ではわかっていてもなかなか行動できない人もいます。その場合、そのAからBまでの隙間をつなぐ支援(コラム③参照)が必要です。
同じような経験をした人から、「自分はメールやラインで対処法を提案されたが、そもそもそれを見る気力がなかった」という話を聞いたこともありました。
そのため、まずは示されたものに向き合う気持ちになれるような支援が必要です。
この事例では、ストレスチェックの結果からその対処までの隙間をつなぐ支援が必要なのではないか、ということになります。