【前回の記事を読む】その先生は、自分が射つクスリを「効かないよ」とか、これから手術を受ける者に「間違えば死ぬよ」とか言う。非常識にも思えるが…

第四章 2015年(後)

10月30日(金)
再び、入院
 

午後1時にみなと赤十字病院へ行き、入院手続きのあと、病室に入った。

前と同じ7階で、ただB棟からA棟に変わった。窓外の景色は前の方が良かった。A棟は高速道路しか見えない。

そういえば2011年3月、大震災の直前に、良子は胆嚢摘出手術を東邦大学病院で受け、3・11の衝撃はベッドの上で味わった。点滴のポールが動くのを、慌てて支えたと聞いた。

その部屋の窓外風景はとても良く、天候によっては富士山が見えた。

計測された体重は57kgであった。普段は60kgであったが、これは食事制限の故であろう。その他に異常はなかった。風邪気味だったのは完全に抜けていた。顔色も良かった。

B先生の事前説明は18時の約束であったが、病院では予定通りにいかぬと承知していた。

20分頃にB先生が4、5人を従えてちょっと顔を出し、「遅くなってすみません。ちょっと回診してきます」と言った。B先生がナース一人を従えて部屋に来たのは19時であった。

「面談室がいっぱいなので、ここでやりましょう」と言った。

先生の説明、要点。

がんの位置は「横行結腸」で、かなり大きい。

腹腔鏡下手術で行う。理由は開腹手術よりも安全だからである。現在大腸がん手術の80 ~90%は腹腔鏡下で行われている。