【前回の記事を読む】「実際には検査では分からない。費用が高い割にはアテになりません。」つまり、妻が告げられた「ステージⅢ」は…

第四章 2015年(後)

11月2日(月)
手術

いよいよ手術の日となった。

久しぶりの雨である。2週間は降らなかったと思う。

さほど強くはないが風もあって、木の枝が揺れている。

晩秋の、冷たい雨だ。

12時に来ればよい、と病院からは言われている。その少し前に行こうと思う。

施術の所要時間は3~4時間との説明を受けた。麻酔からの恢復を考えると、順調にいって5~6時間、かかるのであろう。

11時30分に良子の病室に入った。

点滴がなされていて、良子は横になっていた。昨日、食事は昼食まで、21時以降は飲物も禁止になっていた。

最初の入院が9月12日なので、50日になる。

異変が現れて救急病院へ行ったのが9月4日であるから、丁度二月目である。

随分日時を要した。色々な要因があった。何よりも “シルバーウィーク” と呼ばれる連休があった。しかし、術後の合併症に「腸閉塞」があると知った。

ステントによって腸を拡げても、短期間であればすぐ元に戻る、というインターネット上の情報もあった。であるなら、この期間は、腸の形状を整えるために有効であったかもしれない。

まったくの素人考えで、先生には聞いていない。早くやれば良かったのか、これは比較のしようがない。

入院直ちに手術に進んでいれば、がん研のセカンド・オピニオンを受けられなかっただろうし、B医師ががん研出身であることを知ることもなかった。

B医師が、がん研で裏判押してくれた方であることは、安心であった。患者には、医者の “腕” を、知りようがないのである。