【前回の記事を読む】妻の手術まで50日。私は、緊急ではないことを希望的にとったが、妻は「病院は、どうせ手遅れや、思うとるんちゃうかな」

第四章 2015年(後)

10月25日(日)
メジロ

今日、今年初めてメジロを見た。

裏の傾斜地に先住者が植えた柿が2本、大きく育っている。私たちが住むようになってからでも30数年であるから、樹齢は50年を超すであろう。

毎年いっぱいの実をつけるが、自分では危険で収穫できない。植木屋が最終的な刈り込みをするが、ほとんどすべて、小鳥の餌である。私はそれに満足している。

メジロはこの頃にやって来て、ツバキ、梅の花を吸える頃までいる。私が一番好きな小鳥が雀で、次がメジロである。

10月26日(月)
T医院のT先生

丸山ワクチンをT先生に射って頂いている。今月5日に開始して、今日で、A液B液、各5本を射ったことになる。

T医院は偶然に知った。車の運転も自転車にも乗れない良子が、徒歩またはバスで通える近場で探した。大通りに面していて、小形のマンションの正面にあり、それなりに立派な構えであった。

丸山ワクチンのことを話すと、あなたは丸山ワクチンのことを知っているのか、と逆に訊ねられた。「昔から知っています」と答えた。

「効かないよ」と言われた。

「気休めかもしれません。承知しています」