【前回の記事を読む】『神さまの隣』より詩五篇「海の底を歩く 見上げれば 水面が 太陽の光に反射して ゆらゆら輝く」

地球の恵みを味わって

尊い変化

わたしは 思う

今 たった今 わたしは

人生の蜜の味を 味わっていると

赤い花だけを集めた 花束を

両手に抱えると わたしの姿は

まわりから 見えなくなる

わたしの表情は 花の中で ほころぶ

細い 赤いリボンで

ゆるやかに まとめられた 後ろ髪も

無造作に 咲き乱れる 花の一部になって

なんて 綺麗なのだろう

新たなるものが 生まれる気配

花のいのちを 思って

きつく握りしめていた 両手を 静かにほどいた時

わたしの手の中の 無数の花たちは

赤から 白へ 花から 鳥へと 姿をかえた

いっせいに 飛び立つ 無数の 白い小鳥

いのちの象徴 わたしを包む 白い小鳥たち

わたしの 心に 喜びだけを残して

高い空に 吸いこまれてゆく

かすかな 羽ばたきの音を 残して