プロローグ

始めに、数ある書籍の中で、この作品に目を留めてくださったことに感謝いたします。

本作は、わたしが初めて出版させていただく作品集です。

嬉しい時、楽しい時、苦しい時、悲しい時。人生のいろいろな場面で、今この作品を読んでくださっているあなたに、寄り添える。そんな作品集になればいいなと思っています。

作中には、詩、短歌、小説、エッセイと、様々な要素を織り交ぜました。どこから読んでいただいても構いません。好きな箇所を、好きなように味わっていただけたら、嬉しいです。

中には、意味が分かりにくい作品もあるかもしれませんが、難しく考えず、気軽に読んでいただけたらと思います。

昔、わたしの友人が、「文学作品は、できあがった瞬間から、作者の手を離れて、独り歩きする」と言ったことがありました。

作者が意図しない、思いもよらない意味を、読み手の方が見出してくださる(つまり、作品が独り歩きする)ことは、多々あります。それは、作者にとっても新鮮で、また、興味深くもあることです。

わたしは、文学作品は、「読み手の方がいてこそ、成り立つもの」だと思っています。今こうして、書籍というひとつの「形」をもって、わたしの手を離れた作品に、あなた自身が色をつけてくださったら、作品が生まれたことに意味があると思っています。

また、純粋に、作品を読んでいただけることは、わたしにとっても励みになりますし、作家冥利に尽きることです。

本作には、わたしが今まで生きてきた33年間を、余すところなく、盛り込みました。わたしが今まで経験してきた、人生の悲喜こもごもが表れた作品になっています。そんな本作を、わたしとは違う人間である、「あなた」が読んでくださることを嬉しく思います。