【前回の記事を読む】詩五篇「この想いは ただの偶像化に過ぎないのだろうか それでも あの子の内側を覗いてみたいと思う」

僕と彼女と世界のきらきら

白い闇

その瞳に映る世界

その瞳に宿す愛、うるみ、真実

知覚する 世界のすべて

その尊さに わたしはとらえられない美しい桃源郷の夢を見る

 

その視界に入りたくて

でも視線を遮りたくない

矛盾した想いは 俗世間の罪深さの象徴

わたしを蝕む 死に至る病

わたしは辿り着けない桃源郷の夢に焦がれる

 

白い光があなたをさして

暗い闇がわたしにはびこる

ふたりの間に 大きな隔たりを見る

生まれ落ちた星は同じ筈なのに

 

「世界には白と黒だけで成り立つものは存在しない」

天から降る あの人の声に耳をすませる

わたしは あなたの瞳の奥に白い闇を見た気がした

 

再誕

雑踏の中で あなたの指を強く握る

走馬灯のように過ぎ去る光景が ふたりを取り巻くけれど

誰も 何事も ふたりを壊せないだろう

めくるめく心地の中で あなたを味わったあの日々も

 

世界にある 美しいものとそうでないもの

と 両方を備えたたくさんのもの

わたしは瞳を開き ひたむきに世界を眺める

世界と対峙する 時計の針が止まった

わたしの中で 何かが溢れだす予感で満ち

世界が生まれ変わるとき

 

雑踏の中で あなたの指を強く握る

あたたかで確かな その感触が

生きる息吹きとなって 注がれ

わたしを新たな存在にした