あなた
あなたとの時間は 苦しかった
いっそ あなたと出会わなければよかったと 何度も思った
過ごした時間の幸せが 苦しみに上書きされて 見えなくなってしまうほど
死にたいくらい 辛い日々だった
あなたとの記憶をすべて消してしまいたいとさえ思った
でも 過去は消えないものね
犯した罪も 過ちも 消えないの
そして 幸せだったあのときの時間も やっぱり消えないの
あなたの非情な言葉
ナイフのような冷たい言葉
今もわたしの心は 血を流しています
あなたの中には もうその記憶は残っていないのだろうけれど
過去を振り返るとき 痛みを思い出すのは簡単ですね
不平や不満を言うのも簡単ですね
そして それらから目を背けずに向き合うことも大切です
もう泣きつかれて
わたしの身体には 一滴の水分も残っていないの
なんでだろう
生きる意味も 掬い上げた次の瞬間 両手から こぼれ落ちてゆく
わたしの足元は 絶望の涙で濡れている
でも もしこの経験を意味のあるものにしたいのなら
自分の手で 色を付けるしかありません
あなたとの思い出を 自分自身で 価値のあるものに変換するしかありません
なぜなら ものの見え方は 自分の力でしか変えられないのだから
昔 ある人が言いました
「苦しい記憶も辛い思い出も あなたと過ごした証だから 幸せに思える」
素敵だと思う
やっぱり人間は素敵だと思う
何度倒れても立ち上がる
記憶を昇華させて前に進む人間は やっぱり素敵だと思う
わたしは人間に生まれてよかったと 空を仰いで
あなたとの日々を 懐かしめるように 前に進もうと心に決めた
そしていつか それすらも乗り越えて 尊い記憶になりますように
尊い過去に 尊い人生になりますように