【前回の記事を読む】王さまが示した5色の輪。黒の輪を引いた第3王子エリオットは、世界一強いものを探す旅で最も遠い地「アジア」へ向かう
三.旅立ち
箱の中に残る輪は、オセアニアの「赤」、そしてヨーロッパの「青」の二つです。
第二王子のエリックがゆっくりと布の下から箱の中に手を入れて、輪を一つ取り出しました。
青の輪です。
「王さま、私の行く大陸はこの地『ヨーロッパ』です」
「エリック。活動的で冒険(ぼうけん)好きなお前のことだから、もっと遠くの大陸に憧(あこが)れていたかもしれないが、今のヨーロッパの現実をしっかり見つめ、将来のことも考え、お前が世界一強いものと思うものを探し出してくるがよい。決して無理をするではないぞ」
「はい、王さま」
エリックがそう力強く応えると、王さまは安心した様子で大きくうなずきました。
第一王子のフィリップは、最後に残った赤の輪を取り出しました。
行先は、オセアニアです。
「フィリップ。オセアニアは、大陸と広い海にたくさんの島々のある場所だ。
冷静沈着(れいせいちんちゃく)なお前のことだが、決して自然を侮(あなど)るではないぞ。
広い心で見聞し、お前が世界一強いものと思うものを探し出してくるがよい。決して無理をするではないぞ」
「はい。きっと王さまが驚くような世界一強いものを探し出してきます」
王さまは、フィリップの言葉にたいへん満足した様子で大きくうなずきました。
こうして、それぞれが〝世界一強いもの〟を探しに行く大陸が決まり、三人の王子と二人の王女の胸には、不安な気持ちと知らない世界を訪れる期待とが、同時に込み上げてくるのでした。