王さまは、そんな五人の様子を見て、こう話し出しました。

「お前たちは、急に私からこのような難題を命じられ、さぞかし驚いていることだろう。大きな不安もある。一方で、何か期待もある……今は、そんな気持ちかのう。

だが、お前たちが世界一強いものを探し出してくることは、わがユートピリッツ王国が強くなるためにとても大切なことなのだ。

それに、お前たちはもうすぐ成人となる。世界を広く見聞(けんぶん)しさまざまな体験をすることは、試練を伴うかもしれぬが、王子や王女たちのこれからの人生にきっと役に立つはずだ。

世界一強いものを探し出す旅は、立派な成人となるための一つの『通過儀式(つうかぎしき)』でもあるのだ!

どうか、これらのことを忘れないでほしい。時は春。旅立ちには、よい季節である。

みなには、それぞれの大陸の言葉がわかる者と、地理に詳しい者の二人をお伴として付けることにしてある。準備が整いしだい出発するがよい。

私の大切な、三人の王子と二人の王女よ! どうか、元気で。そして、無事に帰ってきておくれ。

私は、毎日みなの旅の安全を祈ることにしよう」

王さまは、玉座から立ち上がり、五人の前に進み出ると、この国を治める者の証である金色のメダルを手に取り、順番に五人の頭の上にそっと触れ、心の中でこれから一年間の無事を願うのでした。

「では、行くがよい。一年の後に、また会おう」

王さまにそう言われ、三人の王子と二人の王女は、宮殿の大広間をあとにしました。

五人は、大理石の太い柱が続く長い回廊から、春の日差しがあふれているパティオに出ました。そして、誰が言うでもなく、五人は円陣 (えんじん)を作りしばしの別れを惜しむのでした。

パティオにいた何羽ものハトが、白い翼を大きく広げて空高く飛び立って行きました。 

何日かの後、三人の王子と二人の王女は、白い翼のハトに導かれるように二人のお伴を連れてユートピリッツ王国を旅立ったのでした。