詩
宴の時間
蔦のからまる 古いお家で みんなで パーティーをひらいた
お庭にはひらひら舞う蝶と 目に鮮やかな草花
太陽がさんさんと降り注いで
世界に祝福されているかのような 眩しい昼間
とろとろと 楽しくすすむ 宴の時間は
誰もが 笑顔 笑顔 笑顔
その笑顔は心からの笑顔かしら なんて問うのはナンセンスだし
わたしも みんなと 同じ だから
この問いは 胸の内にしまった
ずっとこの平和な時間が 続きますように
それが 飾られた平和でも 作られた平和でも 偽物でも 本物でも
続く限りは 平和でいられるから
眩しい陽射しに すこしめまいを感じた 昼間の出来事
逆転した世界で
満開の桜の下で
わたしはあなたと食卓を囲む
夢のなかのような賑やかな装いで
満開の桜の花びらがくるくる舞う
わたしとあなたは風にあおられ
夢の景色のように天と地が逆転する
秩序をなくした春の情景の中
わたしとあなたはこの世に取り残された
最後のふたりになったみたい
下から上へ 桜の花びらが舞う
ふんわり ふわふわ ふんわり ゆるり
眩しい太陽の上で
楽し気に繰り広げられる最後の食卓
わたしたちは変わらない 世界が逆転したとしても
わたしとあなたは変わらない