紫陽花の季節

紫陽花が咲く季節になりましたね

懐かしい声がして振り向くと

そこにはあなたがいた

ほほ笑むあなたがいた

瞬間で記憶が蘇るのをごまかすために

軽く咳ばらいをしてほほ笑み返した

同じ目線でほほ笑み返した

すべてを忘れられたらどんなにいいかと

それが幸せへの近道だと思っていたけれど

その願いはかなえられないまま

耳にのこるあなたの声を

ただただきいていた

あなたの瞳の奥であなたの声を反芻する

記憶にとらわれないよう力をこめて

互いの瞳を見つめて静かに時間がすぎてゆく

ふたりの周りを紫陽花が囲んでいた

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