【前回の記事を読む】十二月、一週間にわたりBIPAⅠの修了試験が行われた。ガムランの発表があるが進級できるかどうかわからないので気が気でなく…
第二章 シルバー留学
予想外のBIPAの授業
退職後六か月経過したため、失業手当が支給されることになったが、そのためには毎月指定された第三火曜日に地元のハローワークに行かなければならない。私は日本における就職活動を兼ねて、毎月、第二土曜日にジャカルタを発ち、月曜日にかつて在籍していた会社の転職を支援する子会社に寄り、火曜日にはハローワークで就職の相談をして、水曜日に成田からインドネシアに戻った。
そのうえ、今回の留学では六十日滞在可能なビザしか取得しておらず、延長の申請手続きのため、毎月二回、授業を休んで、アパートから十キロほど離れた街はずれにある入国管理局に行かなければならなかった。その結果、授業の出席率も悪くなり、特に文法はたびたび小テストを受け損ね、成績にも影響が出てきた。
結局、実際には就職活動を行っているにもかかわらず、失業手当の受給は途中で断念した。いよいよ、BIPAⅡの修了試験が迫ってきた。自分なりに努力したつもりであったが、正直言って今回は全く合格する自信がなかった。
しかし、「できないものはできない。無い袖振れぬ」と開き直って試験に臨んだ。結果は予想通りリスニングと文法が合格点に達しなかったが、平均点で合格ラインを上回りなんとか合格できた。
今回、BIPAⅢは二か月のインターセメスター短期集中コースにあたっていた。「BIPAⅢ修了時には、大統領と政治、経済、文化について話ができる」というだけあって、BIPAⅡの授業よりさらにレベルは高くなっていた。
リスニングの授業はインドネシアのドラマやコメディ、さらに映画へと発展した。読解は法律や裁判などの社会問題から環境問題、インドネシアの地方に残る風習まで領域が広がり、同じ事件について数種類の新聞を読み比べて、それぞれの新聞の特徴をインドネシア語で話し合うといった授業も行われた。