俳句・短歌 歴史・地理 歌集 日本列島 2020.08.16 歌集「秋津島逍遥」より三首 歌集 秋津島逍遥 【第7回】 松下 正樹 “忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す” ――日本の面白さに旅装を解く暇もない 最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。 尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 流氷のばらけたやうに浮かぶ海 舞ふ大鷲の眼するどし 風出でて流氷沖に離りたり 白くかがやき帯のやうにひろがる 流氷のひろがり尽きし海の涯 かもめが群れて夕日が沈む
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『雪女』 【第2回】 佳 英児 早朝のゴルフ練習場。男性が使うアイアンを扱う謎の美女。相当に上手いようだが… 私は、女性を見た。彼女もこちらを見た。微笑んだその人は知的な雰囲気で整った顔立ちだった。少し開いた口からは、歯が見えた。明眸皓歯 (めいぼうこうし)の形容がぴったりの人だ。まだ、話してもいないけれど、きっと気の利いた人であろうと思った。「グッドショット」と言う代わりに、私は親指を立ててサインを送った。彼女は、チョコンとうなずくように挨拶を返してくれた。一体この女性のゴルフの腕前は如何ほどだろうか…