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「よし、今日は終わりだ」

サッコは腕時計を見ると、畑のまん中で号令した。その声に応じて、同じようにスコップを突き立てていた農家の少年たちはみんないっせいに仕事をやめた。

わが家の土地を他人が修復するという理屈を、少年たちは大人よりも素直に受けとめる。やがて一人、二人と手伝うようになり、それならとサッコは彼らのためにルールを設けた。

学校が退(ひ)けた平日の午後から日没までのきっちり二時間、荒れた土地に入り、畑の石を取り除き、蔓延った根っ子を引く。それ以上は気が向いてもやらない。負担にならず、適度な気晴らしであることが肝要だ。

誰の土地だとかは問わなくていい。これは村の土地なのだ。骨の折れる仕事だが、やればやるだけ農地を取り戻せるのだから頑張ろう。

その考えのもと、十人ほどの少年たちとこの作業をすることで、サッコは彼らに組織化した農業の基本を学ばせようとしている。規則正しい就労時間と分担作業は第一歩なのだ。

それに、いつか必ず、と信じて少年たちと作業していると、ときどき後ろ向きになろうとするサッコの気持ちは支えられる。

―いつか道が開くさ。