「あたしはずっとこの村にいるつもりはないのよ。街で怖い目に遭って逃げ帰ってきたけど、ジョジョが乗りこんだからには安心できないわ」「だって、あいつはニコのことできたんだし、お前だとは気がつかなかったんだから、もう心配なんかするなよ。仮に思い出したところで、あの時はどうもってくらいのことだろ。もう一年も前の話じゃないか」キーラはエゴルの話などまるで聞いていなかった。指でつまんだケースを無意識にぶらぶ…
[連載]空に、祝ぎ歌
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第28回】中條 てい
「逃げなきゃだめなのよ。お願い、あんたにしか頼れないわ」変なことに俺を巻きこむな、とは言いつつも…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第27回】中條 てい
「なんなのこれ」「車両通行許可証さ。そう書いてあるだろ」「だから、なんのって聞いてるのよ!」熱心な彼女の目的は一体…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第26回】中條 てい
俺は少年が好きなのか?ちがう!そんなはずはない…若い女たちの顔を思い浮かべようとしたが、現れた顔は、やっぱり彼だった。
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第25回】中條 てい
うっとりと彼の世界に引きこまれていく。―不意に甘美な幻影が脳裡をかすめた。あの魅力的な菫色の視線がまっすぐ…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第24回】中條 てい
見覚えのない巾着袋。開けてみれば、札束が二つ。―あの2人がかなりの金を巻き上げていたことは知っている。これだけあれば…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第23回】中條 てい
自分の顔が嫌いだった。臆病そうで、弱い顔。化粧を落とすと、鏡の向こうから、貧弱な素顔が物憂げにこちらを見返している。
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第22回】中條 てい
「なあ、ねえちゃん。あんたここの部屋の人かい」…知り合いに泣きつかれ、裏街のチンピラから匿うことになったのだが、ある日…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第21回】中條 てい
「見つかったらお終いなのよ! 早く!」…大急ぎでバスの中に逃げこんできた彼女。いったい何に怯えているのか…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第20回】中條 てい
「身内は?」「親も亡くしたし、息子もいませんよ」…”子ども”と言うべきだった。男はニヤりとして「ほう、息子ね」と…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第19回】中條 てい
「もっと早く捨ててくれればよかったのに…」20年間、夫は義務感でこの家に留まった。それでも私は、あの結婚に期待していた。
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第18回】中條 てい
「チョコレート? お前にはこれがチョコレートに見えるのかい。これはね…」秘密の一端を見られたが、この子なら…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第17回】中條 てい
引き寄せられるように、足がそちらへ向かった。―拾われたばかりの頃の怖い記憶から、普段は寄り付かないようにしていたが…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第16回】中條 てい
「馬鹿なことをしたもんだね。商売女に引っかかるなんて」「しっ! 聞こえるじゃないか」「あの子にそんなことわかりっこないよ」
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第15回】中條 てい
「お父ちゃんはお前と離れることが辛くてたまらない…」村のお金を使い込んで蒸発した父。その置手紙には…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第14回】中條 てい
目が覚めると、父がいない。「お父ちゃん!」声を荒げて探しても、見つかったのは白い封筒だけ。中を開くと父の筆跡があって…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第13回】中條 てい
「もう、街にはいかないで」―この子には、わかるのか。…出会わなければよかった。彼女を知らなければ、オレは今でも…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第12回】中條 てい
「特別なお得意さんには、あたしたちが花を届けにいくのよ。どういうことかわかる?」親子ほど年の離れた彼女と出会ってしまい…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第11回】中條 てい
「あんた、カーシャを知っているのかい」―捨て子だった養子の母親を探しに街に出ると、突然、「カーシャ!」と女の声がして…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第10回】中條 てい
「こいつはこの街にいたにちがいない」テレビで紹介された鐘の音…偶然か、それ以上か。どうしても確かめずにはいられなくなり…
-
小説『空に、祝ぎ歌』【第9回】中條 てい
何一つ満足にできないと思っていた子が、信じられないような才能を発揮した。偶然とは思えず、面倒な手続きを済ませて…
- 1
- 2