7

ジョジョの熱心な聞きこみに、ずっと用心していた店主もようやく口を開いた。

「おたく、カーシャを捨てた親のことを何かご存じなんですか」

「え、カーシャ! おい、そいつ、カーシャっていうのか」

ジョジョは窪(くぼ)んだ目を丸く見開いて聞き返した。

「いや、本当のところは名前も言えなかったような子でね。それがあの子の名前かどうかもわからないんですけど、カーシャとだけ言うもんだからさ」

「こいつはすげえや。まちがいねえぞ」

店主の話も途中に、ジョジョは身震いして歓声をあげた。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。あの子はね、本当の親はどこにいるか知らないけれど、十五年も前からニコが育てて、ちゃんと養子縁組まで調(ととの)っているんですからね。法的にはニコが親なんですから、そこのところは無理を入れないでくださいよ」

店主はすかさず、特に「法的」という言葉を強調して伝えた。このような相手には少しでも抗力を発揮する響きかと信じたからだが、ジョジョは興奮して聞いてもいない様子だった。

「なあ、そのカーシャってのに会いたいんだが、どこにいる?」

ジョジョが先急ぎして店を出ようとするのをエゴルは引き留めた。