この30年の間に製造業では何が起こっていたのか

話を日本の製造業に絞ってみる。1990年以降、失われた30年とも揶揄される日本において、製造業にはいったい何が起こっていたのだろうか。伸び悩む日本経済とともに地盤沈下が進んでいたのだろうか。

2023年初頭、東京大学大学院経済学研究科の経営教育研究センター(MERC)長である新宅純二郎教授と対談する機会に恵まれた。その際、この疑問をぶつけてみた。

新宅教授は、1990年代こそ、それまで欧米追従であった日本の製造業が、液晶ディスプレイやDVDなど、日本生まれの技術をようやく世界に打ち出した時期であると指摘する。

その後の半導体や液晶パネル産業が衰退したかに見える時期ですら、産業規模が桁違いに成長する中、日本企業は部材や製造装置といった付加価値の高い分野にシフトし、パネル関連産業というくくりでは大きな成長を遂げたという(QR01)。

その後、2011年の1ドル75円という超円高の時代を挟み、製造拠点の海外移転が進んで国内の製造業は空洞化していったのではないかという問いには、ハイブリッド車に必要な先端品や精密な金型など、基幹となる部材や中間財は日本からの輸出が中心となっていると指摘する。

QR01:SPECIAL対談「産学連携で製造業の未来を拓く」知識交流と創造のプラットフォームで製造業を支える

 

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