欧州に近いロシアに製造拠点を持つというのもグローバル時代には当然のことであったが、今の世界情勢では、ロシアでビジネスをしていることそのものが企業の評価を下げるリスクとなる。
明らかなことは、日本の属する西側諸国の判断基準が劇的に変わってしまったということである。
加えて日本には、風水害や南海トラフといった震災のリスクもある。さらにリクルートワークス研究所によれば、2040年には少子高齢化によって労働人口が1100万人も不足するという。
我々、普通の市民では抗うことのできない状況が続く中、企業にはいったい何ができるだろうか?
当たり前のことのようだが、平時には効率的に生産販売し、有事には状況の変化に機動的に追従できるよう準備しておくこと、これを地道に愚直に追求しておくことだろう。
2023年12月現在、西側諸国の援助もあって、ウクライナとロシアの戦局は膠着している。ウクライナの戦乱は通常兵器による攻撃に加え、フェイク情報の拡散やサイバー攻撃を含むハイブリッド戦といわれる。このサイバー戦でも効果的に戦ったことがウクライナの善戦につながっている。
報道によれば、ロシアによるサイバー攻撃時にマイクロソフト社が総力をあげて防御し、スペースⅩ社が構築した人工衛星による通信網を利用してインターネットアクセスを可能にしてきた。
平時からデジタルの備えを十分にしていたウクライナが、兵力で10倍差のロシアに善戦している理由の一つでもある。これは激動の時代を生き抜く製造業にも大きなヒントになる。デジタルの活用は、平時にも有事にも有効な手法となろう。