そう言われてユージンも鍔をじっと見つめた。初めて耳にする不思議な剣の由来にユージンは驚くばかりだったが、なるほど確かに鍔には四天王と思われる四人の彫刻があった。

「自分の父はいったいどんな人物と天竺で会ってきたのだろう? ゴータマというのは人間なのか、神なのか、そうでなければ一体何者なのだ。覚者というのは神とどう違うのか。普通の人間ではなくて、その人物は神になったということなのか?」いろんな疑問が彼の頭の中を巡った。

そんなユージンを白髪のお婆はまじまじと見つめた。まだ少年のようなこの青年がこの剣の使い手なのかと思いながら、「この子はどういう宿命をもった若者なのか? 人の縁というものは不思議なものだ。自分の力を超えた不思議な因果の作用で動くことがある」と感じていた。

お婆はユージンに見ながら、微笑んで言った。

「もしお前が四天王の剣の使い手だとすると、お婆もこの森に長く住んできた甲斐があったというもんじゃ」

そう言うと思い出すかのように呟いた。

「お婆が森の精から聞いた話はやっぱり本当だったのかもしれぬな」そう言ってお婆はもう一度、まじまじとユージンを眺めた。

しばらくすると、お婆は「みやげだ。持っていけ」と言って、ユージン達に小屋で焼いた大きなサワードウ・ブレッドを五個持たせた。彼女はブレッドを丈夫そうな麻袋に入れると袋の先を縄で締めくくり、それをジュピターの背中に結びつけた。「さあ、これでいいだろう」そう言ってお婆は彼らを玄関先で見送った。

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