第一話  ジュピターと不思議の剣

(その四)

「もしかすると、お前の持っている剣はお前の父が持っていたものか?」

「そうだ。母がそう言っていた。この剣は父上の血をひく僕だけが使える不思議な剣だと言っていた。でも僕はまだこの剣を使うことができない。この剣は重くて鞘から抜こうとしてもびくともしない」

ユージンは剣を母からもらった時の母の言葉を思い浮かべながらお婆に言った。それを聞くとお婆は言った。

「そりゃそうだろう。お前が強く立派になるまではその剣を抜くことはできないだろう。もしお婆が間違っていなければ、その剣は天竺の国からやってきた剣だ。お前の父が、ゴータマからもらってきたものに違いない」

ユージンが怪訝な顔で聞き返した。

「ゴータマ? それは誰だ?」

お婆はしばらく沈黙していたが、どこか遠くを眺めるように呟いた。

「もしその剣があの四天王の剣なら、おまえの父は天竺の国に行き、不思議な縁でゴータマに会ったのだろう。そして、その剣をおまえに届ける宿命を負う事になったのだ」