【前回の記事を読む】寒さの厳しい喫煙所で、妻子持ちの同僚に「そんなに受動喫煙が心配なら自分で吸えばいい」と言われ…
あーあタバコ
「そうだ、そうですよね。本当にそう言いたくなりますね。こんなご時世ではそんなキャンペーンもできないし。ハックションハックション、こりゃだめだ。引き上げましょう。ハックション」
ここは『寄ってよね』での地区の宴会の場です。
「おーい美代ちゃん、ビールもう一本持って来て」
役場の職員である煙幕造(けむりまくぞう)です。
「はーい。ただいま」
「ところで石和(いしわ)さん、どう一本吸いに行こうか」
「いや私は健康のために今タバコをやめているのです」
「健康のため?」
「最近痰は出るし咳も出るものだから、タバコをやめようと思いましてね」
「いやいやいかん、そりゃいかん。そんな事しておったらストレスが溜まるだろう。ただでさえ苦労の多い日報社だ。好きなタバコくらい好きなように吸ったらよろしい。健康のためだなどと、うじうじする事はない。わしは石和さんにはもっと大きな人間になって欲しいと思うとる」
「煙さんだめよ。せっかくやめようと思っているのに水を差すようなこと言って。石和さん、誘惑に負けてはだめよ」
ビールを持って来た美代が言いました。
「誘惑じゃないさ。どうせ人間一度は死ぬんだから癌の心配しながらちまちま生きるなんて事はつまらん。え、石和さんそうだろう」
「そうですね」
「わしなんか若い頃から蒸気機関車と言われ、尻から煙が出る程吸っておったが何ともないわい。癌が逃げて行きよる。ガハハ」
「煙さんは本当にお元気ですね。感心します」
「それに石和さん、タバコを吸わんと税金が落ちん。うちみたいな小さな自治体にとってはタバコの税金も大きい。地域のためにも吸わなければいかん。わしなんか必ず地域でタバコを買って税金に協力しておる。感謝状をもらいたいくらいだ。ガハハ」