4.泌尿器科でのリアルな夜間頻尿

当院で蓄積した生データから、高齢者の夜間頻尿の現実の実態に迫り、その特徴を示していきます。まず、夜間頻尿の実態をクリニックレベルでみて欲しいと思います。

▼ 当院で経験した夜間頻尿のデータから

当院では20年以上前から多くの排尿障害患者の治療を行うようになっており、多い時で月4〜500人程度に前立腺肥大症治療薬を処方してきました。

安定期の前立腺肥大症等では、現在は処方間隔平均約60日程度ですが、過去の多い日には日に20〜30人は夜間頻尿の話をしています。当院の治療については、泌尿器科学会や排尿機能学会でも発表をしました。しかし、組織の背景のない当院の発表はあまり問題にされないので、ホームページに書き込む程度にしてきました。

いろんな自由研究のデータが手持ちにありますので、それらをまとめ泌尿器科のリアルな夜間頻尿の実態を示してみたかったのです。そして内服治療と、施行してきた生活指導でどの程度の効果があったのかを示していきたいと思います。

その内容は、医院の定期通院患者数と年齢層、その夜間頻尿の年齢的な傾向、治療効果と治療抵抗性による夜間排尿回数の傾向、季節的な効果の動き、治療の目標などであり、医院の現場状況を図①.〜⑧.で説明していきます。

まずは当院の治療中の患者と、疫学調査による年齢別の夜間頻尿の割合の比較を試みました。薬の治療成績は薬の効力を知るために論文が多く発表されていますが、夜間頻尿の通院施設での治療中の患者がどの程度改善しているのかは世に出てきません。当院は幸い多くの治療患者を抱えており、様々な薬の組み合わせと生活指導で得られたその効果の集計データを持っています。

僭越ながら自院と疫学調査を比較して、治療効果を載せました。他施設との比較はできませんが、それなりに効果が得られているので喜んでいます。


(注1 ロコモ症候群とは、移動するための身体機能の能力が不足したり、衰えたりした状態

(注2 サルコペニアとは、加齢により全身の筋肉量と筋力が自然低下し、身体能力が低下した状態

(注3 フレイル(Frailty)とは、心と体が弱々しくなっている虚弱状態で、要介護の一歩手前の状態

(注4 老年症候群とは、いろいろな病気が組み合わさって衰弱している状態

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